誰そ彼 Vol.03 レポート

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文・遠藤卓也

mukai01.jpg二〇〇三年十一月初日、半屋外のイベント「誰そ彼」には、少し遅いかなという気もありましたが第三回開催もお日様の助力を得られ、まずは一安心でした。
一回目の7月は19時だった日没時刻も17時半との予報、徐々に早まる誰そ彼刻がますます季節を実感させてくれます。
誰そ彼選曲陣による夕暮れ向きBGMで相変わらずのリラックスした空気が本堂に漂ってきます。

今回初登場となった"誰そ彼茶"や"チャイ"を飲みながらテラスで談笑する人達、堂内に座って音楽に身を委ねている人達、それぞれにゆったりと降りる秋の誰そ彼どき、その空間を縫うようにライブ演奏が始まりました。

sakura.jpgまず登場したのは上机さくらさん。今回は会場がお寺ということでギターとベースとのミニマムなトリオ編成での演奏となりました。上机さくらさんは10月に1stアルバムを出したばかりの23歳のシンガーで、都内のカフェやライブハウスを中心にライブ活動をなさっています。EBTGやPort of Notesに影響を受けたというボサノバを基調としたカフェ/ラウンジ・サウンドが特徴です。
そして、スケール感があるのに親和性に溢れている歌声は老若男女問わず皆から好かれそうな不思議な魅力をもっています。
会場がお寺だったとうのもあってか、演奏後に「こういうライブならお母さんと来ても良かったな」という声が
お客さんから聞こえてきたのがとても印象的でした。
繊細な弦の響きと、柔らかな上机さんの歌声が本堂を包み込み
爽やかに駆け抜けていき、秋の夜長へと私達をいざないました。

okyou.jpg再び誰そ彼選曲タイムを挟み、二人のお坊さんによる読経が始まります。
今回はシンセサイザーによるアンビエンスの上で
詩の朗読とお経を繋げるという新しい試み。
暗がりにぼおっと美しく浮かび上がる仏様を見ながら
朧げに感じる非日常的な空気と彼岸の気配によって、
「地下鉄あがってすぐ」の場所とはどうも思えなくなってきます。

そして様々な輪郭が曖昧になった頃に、向井秀徳さんが登場しました。
"法衣を着たツェッペリン"こと、ZAZEN BOYSで活躍中の向井秀徳さんは
「無戒秀徳エレクトリック&アコースティック」という名義で
ギター一本弾き語りの演奏をしてくださいました。
装飾の少ないギターサウンドは透明度が高く、
映像的な歌詞がダイレクトに迫ってきて胸が熱くなりました。
mukai02.jpg神谷町や六本木の界隈なんかは特に、向井秀徳さんの歌詞のイメージを重ね易い土地だと思います。そしてそれは朝方や夕暮れの境界が曖昧な時間帯だとより馴染ませ易いのです。
時折混じるファルセット・ボイスも、更に"うた"を近くに届けてくれる為の大事な役割をはたしているような気がしました。
お客さんとの距離が凄く近いので、参加型のコミュニケーションなどもとりつつお馴染みのナンバーも含めた多数の楽曲を披露してくださいました。
そして最後は「野に咲く花のように美しくなりたい~」と皆で合唱。
とても楽しい秋の夜はすっかり更けていきました。

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