(文・斉藤仁昭)
2003年9月13日に開催された第2回目の誰そ彼は3組のミュージシャンと1組のVJをお迎えし、延べ200名ほどの参加者で賑わいました。当日はまさに残暑というにふさわしい日で日没後も汗がうっすら滲むほど暑かったのですが盛況のうちに閉幕することができました。参加者のみなさま、まことにありがとうございます。予定より30分ほど遅れましたが、前回同様2人のお坊さんによる読経で会はスタートしました。その後DJが音楽を流して徐々に空がたそがれていきます。
日がほとんど落ちてしまった頃、空が夜の色になってしまう一歩手前の6時半からムースヒルさんとバンドの皆さんの演奏が始まりました。爪弾かれるギターとハープの音色や和音が日没時の曖昧な空の色と相まって胸が切ないような懐かしいような気分になりました。徐々に演奏のテンションが高まっていき、ドラムスとサンプラーと弦楽器の音が胸のどきどきするようなアンサンブルを奏でていました。
DJを挟んで二番手はティコムーンのお二人。ギターとハープでの演奏。たくさんの弦から紡がれる音に胸が躍ります。ギターの影山さんのマイクパフォーマンスも素敵で、「夏祭りのようだ」という言葉がまさに会場の雰囲気を言いえていたと思います。
ところで今回はイトウさんとハヤトさんのライブのときだけの予定だったはずが全編に渡りroom301のお二人に映像を担当していただきました。会場に華を添えた映像には慎ましさと力強さが感じられ、見とれていたお客さんも多かっただろうと思います。
ときに会場では、テラスでお酒を楽しむ方、持参した食事を召し上がる方、本堂で横になってくつろぐ方、演奏に聞き入る方、会話に花を咲かせる方、みなさんそれぞれの楽しみ方をしている模様。この場ではじめて出会った人とも気楽にお話のできる雰囲気があり、静かに人の輪が広がっている様子も見受けられました。そうして豊かな出会いがこの場で生まれればよいなと思いました。そして空には明るい月が出ていました。秋の気配。
最後はイトウカナメさんとハヤトさんの演奏。淡々とした静謐なビートに徐々に音数が増えていき、それにギターの音が彩りを加える。身の引き締まるような研ぎ澄まされた音。ピアノのサンプル音が本堂に響き渡ります。曲の世界にじっと聞き入る人の姿が多く見られました。終演後は盛大な拍手。
全ての演奏のあとご住職に登場をお願いし「お経もまた音楽です」という言葉をいただき、最後にはやはり2人による読経。そしてみなさんでの唱和。誰そ彼では、禮拝聖典(お経の載った冊子)をお配りし、参加者の方々にもお経を読んでもらえるようにしています。読むか読まないかはもちろん自由ですがお経を声に出すのも歌っているみたいで案外気持ちの良いものです。次回ご来場の際には是非お経を口ずさんでみることをおすすめします。
お経も終わり会は閉幕。みなさんがそれぞれに音楽から、お寺の雰囲気から、お経から、出会いから、空模様から、そのほか様々なことから今日の誰そ彼で感じたことを日常に持ち帰ってくれたことと僭越ながら思っています。
参加者のみなさまどうもありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
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